樹木の環境改善機能を適切に取り入れることで、より心地良い住環境をつくることができます。

新築やリフォームの計画を始める段階からご相談頂ければ、デザインの幅が大きく広がります。建築と庭を合わせて1つの住空間として一体的に考えることで、建築の素材や配置、窓の取り方等、より自由度の高い設計が可能となり、質の高い空間を作ることができるでしょう。庭としても、さらに深みのある景色作りができるようになります。

庭による住環境改善の一例を、機能的な面と美観的な面から見てみます。

■機能的な面


夏季:木立による日照と気流のコントロール


冬季:葉を落として陽射しを室内へ通す

木立がもたらしてくれる快適性を高める効果としては日差しを和らげ、微風を作り出すことがあります。2階建ての建物であれば、6-7mほどの木を建物際に配置すると、外壁や建物周りの地面に木陰をつくり、室内の温度上昇を抑制してくれます。夏の日に長く触れていられないほど高温になる舗装面や外壁も、木陰の部分はひんやりとしています。南側はもちろん、朝夕に強い日差しを受ける東側、西側を木立で守ることもとても有効です。

そしてこの温度差が気流を発生させます。

暖められた空気が上昇気流になるところに相対的に冷たい空気が流れていきます。木陰のひんやりした空気が流れることで、体感的にさらに涼しさを感じます。

町屋の中に設けられる坪庭は、家の中心に冷えた空気を作ることで、部屋の中を涼しい風が通り抜けるように作り出されたものです。中庭や家の北側のような比較的温度が上がりにくい場所に木陰をつくれば効果的です。

ただし冬にも葉が茂って陰になってしまうと体感的にも印象的にも寒くなります。そこで、初冬には葉を落として日差しを通してくれる雑木類は住環境を高めるのに最適といえます。

さらに、木々は騒音、風、塵や埃、火事の延焼などから住まいを守ってくれます。屋敷林は樹木の機能を家と暮らしに取り入れた代表的な例ですが、はるか昔の縄文時代、災害の起きやすい地盤の弱い土地を守るため、神を祀るというかたちで人の手がはいらないようにした「鎮守の森」からも日本では樹木のもつ力を知り、上手く取り入れることで住む場所を守ってきました。

■美観的な面

建築を木立で包むと、建築の外観も部屋から眺めた景色も美しくなります。

木々の枝葉がつくるしなやかな線と、建築がもつ直線的あるいは幾何学的な線、この対比的な線はお互いを引き立たせてひとつの美しい景色になります。また、季節によって大きく表情を変える木々や草花は建築をダイナミックに演出し、それは「建築の表情」になります。

部屋の窓からの眺めも、枝葉を通して外を見ると奥行きや広がりを感じられるようになります。外の景色が煩雑な場合や、圧迫感を感じるほど隣家が迫っていても、気にならなくなり、心地良い時間が過ごせるようになるでしょう。

建物と庭づくりをそれぞれ個別に考えるのではなく一体化させることで、こうした庭における植物の機能は最大限の効果を発揮し、より質の高い住空間にすることができます。

お住まいの新築、増改築を考えていらっしゃる方、建築設計を担当される方からも、是非計画を始める段階からご相談頂ければと思います。