ー心地良い住まいをつくる雑木の庭ー

当事務所は、庭や緑地づくりを通して、美しく、心地良い「住まい」を作り出して行くことを目指しています。

印象的な美しい景色をつくるとともに、草木がもつ環境改善機能(木陰や風が生まれたり、湿度を適度に保つなど)を高めて五感で心地よさを感じられるような庭をつくります。

住環境改善機能は、夏には建物や地面に陰をつくり、冬には葉を落として日光を取り込むことができる身近な山野に生える「雑木」と呼ばれる落葉広葉樹が最も大きく、当事務所ではこの雑木を積極的に活用しています。

―生態系から設計する―

真に心地良い「景観」にするためには、見た目に美しい景色を追求するのに加え、草木をはじめ、生き物たちが「健全」であることが重要です。健全に育つ草木の姿は、私たちに癒しや活力を与えてくれます。

春の輝くような芽吹き、開花、深緑、紅葉、冬の落葉した枝姿、そして早春に膨らんでくる冬芽と、日々姿を変えます。
そして1本1本の草木には様々な生き物が訪れています。
庭で、あるいはプランターの植栽であっても、ふと足を止めて少し観察してみると、様々な驚きや発見があります。

植物が「健全」であることは、そこに住む動物たち、さらには微生物まで全ての生物の命の循環(生態系)が健全であることで実現します。生き物は皆、単独では生命活動が成立せず、お互いが競争、共生、寄生というかたちで密接に関わり合うことではじめて生きていくことができます。

そして、庭の中での生態系が健全に保たれれば、生物が拮抗し、1種が大量に繁殖するということがほとんどなくなります。
つまり、「害虫」と呼ばれる草木を食べる虫や、見た目に不快な虫たちが目につかなくなってきます。

当事務所では庭・緑地のデザインから手入れに至るまで、この生態系を健全に保つための処置を施しています。

―建築との調和―

建築と庭を1つの「住空間」として捉え、その「住空間」が全体的に心地良いものにするという方向で設計します。

建築と庭は人と衣服の関係のようなものです。衣服は気候に合わせて快適に過ごすための機能と人の個性を印象づける重要な要素であり、不可欠なものです。
庭はデザイン次第で建物の外観や窓からの眺めといった視覚的な美しさを高め、木がもたらす木陰やそよ風といった微気象が住まいを大きく快適にしてくれうるものです。

さらに鳥や蝶といった動物たちの声や姿、植物の芳香、手触り、天候や季節での表情など、五感に響く演出をするものでもあり、騒音、吹き付ける雨風、塵や埃などを和らげ、住まいを守ってくれるものでもあります。

これらを最大限に高められたものが建築と調和した庭であり、当事務所がめざすところです。

ところで、ここでいう「庭」は一定の広がりをもつ空間だけでなく、たとえば、家の前にある30センチほどの土のスペースでも、あるいは1つのプランターでも、「庭」です。

現状で「庭もないし土もないので、どうしようもない」と思っている場所であっても、
必ず家をより美しく心地良いものにする方法はあります。

ー景観をつくるー

「景観」という言葉は主には視覚的な景色をさして使われることが多いですが、本来は音や空気感、生き物たちの気配など、五感を通じて人の心に映し出される印象のようなものといえます。それは人が暮らす場所においては「住空間」とも置き換えられます。

圧倒的に人工物に囲まれている現在の住空間においては、山野で見るような草木の姿が無機質で圧迫感のある景色を和らげてくれます。
しなやかに枝葉を伸ばしたその姿は、直線的な建築物と対比をなし、お互いを引き立たせ美しく見えます。
そのような景色がつながっていけば、まちの景観へと広がります。

そこからは意外なほど多様な鳥たちの鳴き声が聞こえるようになり、木陰からは心地良い風も生まれます。

そして、全国で配慮の足りない剪定や植栽方法によって傷んでいる街路樹も改善すれば、ヒートアイランドや都市型洪水といった問題の解決にもつながります。

庭から街へと、心地よい景観が広がっていくことを目指して作庭の他、植物生育環境の改善、街路樹の再生、里山の再生、まちづくりなど様々なプロジェクトの企画、参画をしています。