大阪 茨木市 I邸

食事や団らんの場として設けたものの、ずっと使われないままでいた庭です。
ただ使い勝手を良くするだけでなく、外に出たくなるような仕掛けも必要になります。
まず、シェードを上げられないほど、隣家や近くのビルからの見通しがよかったことから、 板塀と常緑樹で目隠しをつくりました。
板塀には白花モッコウバラを這わせて、圧迫感を和らげます。

庭へ出るのを億劫にさせる庭と部屋の大きな段差を解消するのと、ちょうど出口の下にある床下の通気口をなるべく防がないために石組みによるステップを設けました。テラスの舗装には落ち着きのある古赤レンガを用い、目地はモルタル洗い出し、一部は砂にして草が浸食するようにしています。
土でできたレンガは、舗装材の中では吸水性が良く、環境調整機能にも優れています。背の高い木々が作る木陰や微風とともに、居心地の良い空間にしてくれます。

リビングの窓際にはナツツバキとツリバナを植え、ソファーからナツツバキの輝くような幹や、
花、鮮やかな実、紅葉と変化に富んだ木々の姿を間近に眺められます。
足下にはススキ、ルドベキア、フジバカマなどで明るい草原の雰囲気にしています。
手前の幹が見えることで、木々に囲まれた安心感と庭の奥行きを感じることができます。

テラスの向こう側の植栽エリアは日が当たりにくいため、木陰に自生するような野草や球根植物で落ち着いた雰囲気になります。

玄関側の植栽エリアにはコナラとイロハモミジ、アメリカヒトツバタゴを寄せて植えています。
暑さと直射日光が苦手なイロハモミジを守るようにコナラを植えることで、お互いを健全に育てます。また、それぞれの特徴の異なる葉が、お互いに引き立ちます。
施工後、施主様は毎日庭に出るようになったそうで、雨上がりの景色や、木々の枝葉の間から見える星空など、身近にある綺麗なものを発見できて、見る景色が違って見えるようになったといいます。