外構素材の特徴と使い分け

 

 外構素材にはたくさんの種類があり、見た目だけでなく機能面や価格も全く異なります。それをしっかりと理解して最適な素材と施工方法を選ぶことで合理的に良い空間を作る事ができます。

■舗装材のそれぞれの特徴

外構での「舗装」は優先度が高い場面が多い工事です。この舗装材を例に素材の違いについて考えてみます。最も目にするのはコンクリートでしょうか。工事費は安価で強度もあります。一方で夏の眩しいほどの照り返しと表面温度が50度以上になり蓄熱によって夜まで空気を暖めるといったデメリットもあります。無機質な質感は独特で魅力ですが、一面を覆う素材よりは使い所を絞り全体としてデメリットを解消できる設計をする方が有効だと思います。「夏暑く冬寒い」素材では「石貼り」もそうです。石も質感や貼り方で様々な雰囲気を出せますが、高価なものでもあるのでしっかりと使い所を考えたいところです。

グレー系のレンガ

 人の快適性から考えると土でできたレンガや三和土が優秀です。高い断熱性と蓄熱性によって「夏涼しく冬暖かい」素材です。水分を含んで少しずつ蒸発させるために調湿性もあります。通り雨があると「打ち水効果」が大きいため涼しさを感じられます。保水性のある材料には多孔質の砂岩や溶岩もあります。

 石を土に直接据えて目地もセメントで塞がない昔ながらの「石畳」は土の優れた機能を残す事もできます。目地から草が生えると優しい雰囲気にもなります。

■ウッドデッキも素材の差が大きい

環境配慮型木材保存剤の加圧注入によって耐久性を高めたヒノキ材のウッドデッキ

 ウッドデッキも素材によって機能の違いが大きいものです。大きくは樹脂製、天然木材のハードウッド、ソフトウッドに分かれます。樹脂製は耐久性の高さが最大の長所でメンテナンスも楽です。しかし初期費用は高く素材感では天然木には劣り、熱を吸収しやすいため夏はかなり暑くなります。ウッドデッキの形状の自由度も低くなります。樹脂ならば日陰であまり広くない場所で使うのが無難かと思っています。ソフトウッドは国産のヒノキが代表的ですが性質は樹脂製のものと逆です。近年急激に人気の出たのがウリンやセランガンバツといった熱帯雨林原産で耐久性とメンテナンス性に優れた木材ですが材料費は高いです。天然木は加工がしやすいため状況に合わせてウッドデッキの形状を柔軟に考えられるのは大きなメリットになります。

■施工方法

厚みの薄い砂岩を使うことで既存の砂利や土の処分なしで舗装した例

 施工方法も場所に合わせて工夫する事で効果的になります。駐車場など耐荷重や強度が必要な場所ではコンクリートの下地による補強が必要になりますが、人しか乗らないような場所では下地のセメントの量を減らして保水性をもたせれば、素材の快適性を少しでも高める事ができます。

 舗装材の厚みも様々です。舗装時と下地材の厚みに応じて土の掘削や客土が必要になり、そのためのコストがかかる場合もあります。

 コンクリートや石貼りを使う場合は木を配置して木陰を作るだけでも夏の高温を緩和することができます。

 舗装だけで見ても目的(求める機能)に対して様々な選択肢があり、それぞれに長短があります。各機能性、デザイン性、経済性を考慮して素材を選び、短所を消して長所が活きるような配置をすることでより満足のいく外構や庭を作る事ができます。

 

 

 

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