雑草の対策と庭の設計・手入れ

 

■「雑草」は邪魔者か

モトアキチ。雑草たちのおかげで植木や野草も元気に生育している。

 雑草は庭や園芸の悩みの種になっています。草むしりが面倒だし、土の養分を奪って大事な植物を育ちにくくする「邪魔者」だと思われています。

 しかし雑草に対する一般の認識には大きな誤解が含まれています。一本の雑草が生えるだけでその周囲に様々な現象が起きています。その現象を良く見てみると、雑草も他の草木と全く同じで植物の生育環境、さらには人の住まいの環境を改善する方向に作用していることがわかります。実は雑草は扱い方次第で大きな味方になります。おそらく今よりも「楽な手入れ」をすることがポイントになります。

■雑草は何をもたらしているか

 雑草は実は庭にたくさんのメリットを与えています。常識とは正反対の現象が起こります。

①土壌に栄養を与え、やわらかな土へと改良してくれる。

②水はけが良くなる。

③土が乾燥しにくくなる。

④病虫害が減る。

 おそらく、化学肥料と農薬を前提とした農業が普及するまでは、こうした雑草の働きは農家を中心に一般的な知識だったと思います。明治の作家長塚節の「土」には、その時代の農家が雑草をフル活用し、むしろ雑草不足で悩む様子まで描かれています。農薬で虫も雑草も排除し、彼らが作り出していた養分を肥料で賄う現代農業の普及にともなって、そうした本来の役割を人が理解する機会も無くなっていったのでしょう。雑草が大事な植物に「害」となるのは、雑草に覆われて十分な日光を得られなくなった場合くらいです。

 上に挙げたメリットは次のような現象によってもたらされます。

①雑草の根の周りでたくさんの微生物が活動します(根圏微生物)。微生物の死骸や排泄物、雑草の枯れた根や葉が常に土に供給されることで、さらに微生物が活性化するという土壌改良のサイクルが生まれます。

②雑草が伸ばした根を伝うように雨水が地中へ浸透します。また雑草の土壌改良効果によって土が団粒化して空隙ができるために浸透しやすくなります。

③「雑草に水分を奪われる」と思われがちですが、土に直接日光が当たるよりもはるかに乾燥しにくくなります。

④土壌改良効果によって他の草木が健康になることと、生物相が多様化することによる拮抗作用と健全化によって単一種の大量繁殖が難しくなります。

■楽な手入れが雑草を「味方」にする

 雑草に対してはツボだけ抑えて、後は神経質に抑え込もうとせずに肩の力を抜いて向き合うくらいが丁度良いです。具体的には「長めに残す草刈り」と「選択的除草」という方法があります。

 

長めに残す草刈りで雰囲気も柔らかになる。

 草刈りというと地面ギリギリで刈ることが良しとされています。確かにまた伸びてくるものなので少しでも短くしておいた方が得な気がしますが、逆効果になります。地際で刈られた草は反動で勢いよく伸びようとします。ぶつ切りにされた木が大量の徒長枝を噴き出しているのをよく見かけますが、それと同じです。植物は地上の姿と地中の根は同じような動きをするので、根っこも荒くなります。結果、根が脆弱になり機能が低下するので、先に述べた土壌改良効果も小さくなります。それに対して長めに残して刈ると、植物の成長点が多く残って分枝が進み、伸長スピードも穏やかになります。根も細根化してきます。腰をそんなに屈めず楽な姿勢でできる高さで刈れば十分です。刈った後の景色も草原のような優しいものになります。

 選択的除草は必要最低限のものだけ引き抜くあるいは刈る除草です。大事な草花を覆って生育を妨げる、あるいは雑草が混ざることで美観が損なわれている場合に有効です。

庭や花壇を見渡して「これがない方がきれいに見える」と思った雑草だけ引き抜けばいいのです。他の草花が元気に育つような土であれば簡単に抜けると思います。

 後処理も楽をします。刈った草は集めて捨てるのが一般的ですが、それも手間がかかりますし、何よりもったいないのです。そのまま地面にふわりと敷いておくとマルチングになり、やがて分解されて土の養分になります。草を長めに残した草に守られて風で飛ばされることもありません。

 自然界は基本的に私たちの住みやすい環境を作るように働いてくれます。雑草も神経質に抑え込もうとせずに肩の力を抜いて向き合うくらいが丁度良いと思います。

■庭の設計と雑草への対処方法

森の切れ間から広がる草地

 造園設計での雑草対策としては主に、日照のコントロールと舗装から考えられます。日照は樹木やパーゴラなどの配置で、日陰の濃さや広さを調節します。木陰では雑草は繁茂することができません。また他の草花が健康に育つような土壌であれば競争力に劣る雑草に覆われることがありません。

 コンクリートで細かく区切られた現代の住宅地では酸欠土壌が多いですが、土壌環境を整えることも雑草のコントロールにつながります。

 舗装は一面をコンクリートや砂利で覆う手法がよくとられています。初期のコストは比較的安いものの夏は照り返しで高温になり、冬は底冷えするように住まいの環境を過酷にする面もあります。一方土から造られたレンガのように断熱性や調湿性がある材料もあります。日照のコントロールも含めて総合的に考えて設計することで見た目にも体感的にも心地よい庭にすることができます。

 

 

 

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